院長ブログ
睡眠時無呼吸症候群
その眠気、実は「窒息」のサインかも?日中の耐えがたい眠気に潜むリスク
「しっかり8時間寝たはずなのに、午前中からあくびが止まらない」
「会議中、上司の話を聞きながら一瞬意識が飛んでしまった」
「休日に昼寝をしても、体が重だるいまま……」
こうした日中の耐えがたい眠気を、私たちはつい「疲れが溜まっているだけ」「加齢のせい」と片付けてしまいがちです。しかし、耳鼻科医の視点からお伝えしたいのは、その眠気の後ろに「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という深刻な病気が隠れている可能性です。
今回は、自覚症状のあるあなたにこそ知ってほしい、眠気の正体とその対策について、フクロウの中の人が、詳しく解説します。
■ なぜ、寝ているのに「脳」は休めていないのか?
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に喉の筋肉が緩んだり、鼻の通りが悪かったりすることで空気の通り道(気道)が塞がり、呼吸が止まってしまう病気です。
呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が急激に下がります。すると脳は「このままでは死んでしまう!」とパニックを起こし、強制的に覚醒スイッチを入れます。本人は眠っているつもりでも、脳は一晩中、酸欠によるパニックと覚醒を繰り返しているのです。
これでは深い睡眠(レム睡眠や深いノンレム睡眠)が得られず、脳も体も全くリカバリーできていません。日中の猛烈な眠気は、いわば「脳が悲鳴を上げているサイン」なのです。
■ あなたの眠気はどのレベル?簡単チェック
以下の項目に心当たりはありませんか?
✓座って読書をしている時に、ついウトウトする
✓テレビを見ている時に、気づくと寝ている
✓会議中や映画館など、静かな場所でじっとしていると眠くなる
✓車の運転中、信号待ちなどで一瞬意識が遠のくことがある
✓昼食後、仕事にならないほどの眠気に襲われる
これらに複数当てはまる場合、あなたの睡眠の質は著しく低下している可能性があります。
■ 「たかが眠気」が招く、命に関わる二次被害
「ただ眠いだけなら、気合で乗り切れる」と考えるのは非常に危険です。放置された無呼吸症候群は、あなたの人生に深刻なダメージを与えます。
心血管系への過酷な負荷
呼吸が止まるたびに血圧が急上昇するため、心臓や血管に大きな負担がかかります。SAS患者さんは、健康な人に比べて高血圧のリスクが約3倍、脳卒中・心筋梗塞のリスクが約3〜4倍になると言われています。
社会的信用の失墜
仕事中のミスや集中力低下は、周囲からの評価を下げてしまいます。また、交通事故の発生率は無呼吸のない人に比べて数倍高く、一瞬の居眠りが取り返しのつかない事態を招くこともあります。
メンタルヘルスへの影響
質の良い睡眠が取れないと、感情のコントロールが難しくなり、イライラや抑うつ状態を引き起こしやすくなります。
■ 耳鼻科だからこそできる「根本原因」へのアプローチ
「いびきや無呼吸はどこに相談すればいいの?」と迷われる方も多いですが、じつは耳鼻科は「空気の通り道のスペシャリスト」です。
鼻詰まり(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)、扁桃肥大、舌の付け根の沈下など、物理的に空気の邪魔をしている原因がどこにあるのかを的確に診断できます。
当院では、まずはご自宅で簡単にできる「簡易睡眠検査」をご案内しています。手の指にセンサーをつけるだけで、寝ている間の呼吸状態や酸素濃度を測定できるため、入院の必要もありません。
■スッキリした目覚めを取り戻すために
「もっと早く相談すればよかった」
治療を始めた患者さんから一番多くいただく言葉です。適切な治療(CPAP療法や鼻疾患の治療など)を行うことで、驚くほど日中の頭が冴え、生活の質が向上します。
睡眠時無呼吸症候群のことでお困りでしたら是非一度当院を受診ください。
「うるさい」だけじゃない。家族が気づく、夜中の「静寂」に潜む危険
「隣で寝ている主人のいびきが凄くて、私が寝不足になる」
「旅行に行っても、周りに迷惑をかけないかヒヤヒヤする」
ご家族の「いびき」に悩まされている方は非常に多いものです。時には「また大きな音を立てて……」と、ついイライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし、耳鼻科医からお伝えしたいのは、そのいびきは単なる「騒音」ではなく、体が必死に出している「助けて」のサインかもしれないということです。
特に、激しいいびきの合間に訪れる、「不自然な静寂」。これこそが、最も注意すべき危険な状態です。
■ 「いびき」の正体は、喉の悲鳴
いびきは、睡眠中に喉の通り道(気道)が狭くなり、そこを空気が通る時に粘膜が振動して出る音です。つまり、いびきが鳴っているということは、「一生懸命に空気を吸おうとしているけれど、通り道が塞がりかけている」という証拠です。
さらに深刻なのが、大きないびきが突然止まり、数秒から数十秒、呼吸が止まってしまう状態です。これが「無呼吸」です。
その後、大きく「ガハッ!」と音を立てて再び呼吸が始まるとしたら、それは体が窒息状態から必死に這い上がってきた瞬間なのです。
■ 本人が「なんともない」と言う理由
ご家族がいくら「昨日の夜、息が止まっていたわよ」と伝えても、本人は「え? ぐっすり寝ていたよ」「大げさだな」と笑って受け流してしまう。そんな経験はありませんか?
これには理由があります。無呼吸による覚醒は、脳の一部だけが目覚める「微小覚醒」であることが多く、本人に「苦しくて目が覚めた」という記憶が残りにくいのです。
本人の自覚がないからこそ、毎日その様子を間近で見ているご家族の「気づき」が、治療を始める唯一のきっかけになります。
■ 放置すると、家族の未来が変わってしまう?
「たかがいびき」と放置することは、大切なご家族を大きなリスクに晒すことと同じです。
突然死のリスク 重度の無呼吸は、深夜や早朝の心不全・脳卒中の引き金になります。
生活習慣病の悪化 高血圧や糖尿病の薬を飲んでいても、無呼吸を放置しているとなかなか数値が改善しません。
性格の変化 慢性的な酸素不足は脳にダメージを与え、以前より怒りっぽくなったり、活力がなくなったりすることもあります。
「ただのいびきだと思っていたら、実は命を削る病気だった」というケースは決して珍しくありません。
■ 耳鼻科は「いびきの原因」を突き止める場所
なぜいびきをかくのか? その原因は人それぞれです。
鼻の粘膜が腫れていて、鼻呼吸ができていない(鼻炎など)
扁桃腺が大きく、空気の通り道を塞いでいる
舌の付け根が落ち込みやすい骨格をしている
耳鼻科では、内視鏡などを使って「どこが、どうして狭くなっているのか」を物理的に確認できます。これは、他の診療科にはない耳鼻科ならではの強みです。
最後に大切な人に「いつまでも元気でいてほしい」から
いびきがなくなれば、ご本人の健康はもちろん、隣で眠るご家族の睡眠環境も劇的に改善します。
「一度、耳鼻科で検査してみない?」
その一言が、大切なご家族の健康寿命を延ばす第一歩になるかもしれません。当院では、ご本人が心理的なハードルを感じないよう、優しく、丁寧な説明を心がけています。まずは、ご家族の相談からでも構いません。
最近では、家族のいびきを心配され、問診票にチェックしてくださる方もたくさんおられます。まずは、当院へ、ご相談ください。
フクロウの中の人(院長!?)は、こう見えて、現在、いびきは確認されていないようです。来る健康診断にむけて、時間を見つけてウォーキングをしております。

